株式会社タクト札幌支店 開設

【所在地】
  〒002-0859
  札幌市北区屯田9条3-2-1-1110
  TEL 011-774-0900

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米グーグル、地図・GPS連動で新サービス

【シリコンバレー=田中暁人】検索サービス最大手の米グーグルは9日、携帯電話会社のへリオと共同で、地図情報サービス「グーグルマップ」と全地球測位システム(GPS)を連動させる新サービスを始めたと発表した。ヘリオが発売するGPS搭載の携帯電話を使えば、グーグルの地図画面に利用者の位置情報などを表示できる。

新サービスに対応するのは、ヘリオが発売するサムスン電子製の携帯電話「ドリフト」。GPS機能を使って現在位置をグーグルマップに表示できるほか、近くのレストランなどの施設情報、目的地までの道順案内なども 簡単に検索できる。

グーグルは300機種以上の携帯電話にグーグルマップの機能を提供している。新たにGPSと連動させることで、サービスの利便性を高めて利用者を増やす。

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マイクロソフト日本法人、リース2社と共同、中小のIT化支援。

マイクロソフト日本法人は中小企業の情報システム導入を支援する新制度を三月末から始める。オリックス、ダイヤモンドリースの二社と提携、中小企業がシステム購入費用としてリースや融資を利用しやすい仕組みを整えた。中小企業の場合、資金調達時の審査に必要な情報不足などから、計画したシステム投資が頓挫するケースが少なくない。来年三月末までに三千件の成約を目指す。
新サービス「IT(情報技術)推進ファイナンス」はマイクロソフトと契約する約二千社の販売会社やシステム構築会社が掘り起こした中小企業のシステム投資案件が対象。システム購入を希望する企業は五百万円を上限にリースや分割での購入、一括購入のいずれかを選べる。
資金調達の申し込みは販売会社などが代行する。また、審査にあたっては全国に百三十人いる「マイクロソフト認定システムコーディネーター」の資格保持者が中小企業の経営情報を提供する。同資格保持者には税理士が多く、マイクロソフトではこれまで情報不足で許可が下りなかった融資案件が通るようになるとみている。
 最近は導入コストの安さから無償基本ソフト「リナックス」を使った情報システムの構築を検討する企業が多くなっている。競合するマイクロソフトでは今回の枠組みをリナックスに対抗して、納入先を増やす手段としても活用していく。

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IT競争力、日本は12位―昨年20位から上昇、世界経済フォーラム発表。

各国の政治指導者や企業経営者を集めた「ダボス会議」の主催者として知られる世界経済フォーラムは九日、情報技術(IT)分野の競争力を国・地域別に比べた「二〇〇四年版世界IT報告」を発表した。日本の順位は前回より八ランク上昇、十二位になった。世界一は米国が奪回、アジアではシンガポールが二位に浮上した。
報告は今回で三回目。日本は前々回が二十一位、前回が二十位と低迷していた。今回はIT競争力を測る三本柱のうち、政府や企業の「利用状況」指標が二十二位から十一位へと大幅に改善、総合順位を押し上げた。インターネット接続料金などの「準備態勢」指標は二ランク上昇の十一位。法律や制度、市場の「環境」指標では前回と同じ十九位にとどまった。
個別項目では「IT研究開発に従事する科学者やエンジニアの人数」(一位)、「企業レベルでの情報技術の吸収力」(二位)などで高い評価を受けた。
昨年、企業に比べて取り組みの立ち遅れを指摘された政府も「政府サービスのオンライン化」で五十四位から八位に急上昇するなど改善傾向にある。ただ、「政策や規制の環境」は三十七位と依然、低評価だ。
特に「外国資本の参入規制」では調査した百二カ国・地域中の八十五位。「国民一人当たり国内総生産(GDP)に占めるネット接続料金の比率」も七十八位と国際的に割高という判定だ。
「税制の効率性」(八十一位)や「行政手続きの負担」(五十位)、「ベンチャーキャピタルの利用可能性」(四十五位)などもIT競争力の足かせになっている。
米国は三位に落ちたフィンランドに代わって二年ぶりの首位に立った。「ビジネス用コンピューター台数」など企業部門のIT活用度、「科学研究機関の質」「特許の取得数」などでトップを占めた。アジアではシンガポールが年々着実に順位を上げており、二位に上がった。

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企業システム、安全管理を民間格付け、経産省が総合対策―ウイルス被害など防ぐ。

経済産業省はウイルス被害やシステムダウンなどコンピューター障害を防ぐため、四十二項目からなる総合安全戦略をまとめた。情報システムの安全性を企業ごとに監査法人などが格付けする制度を設けるほか、大規模被害の発生時には政府が「事故調査委員会」を設けて被害を最小限に抑える。政府のシステム採用には一定以上の格付けを義務づけるなど企業に安全対策を促し、欧米並みの体制確保をめざす。
産業構造審議会(経産相の諮問機関)が十日に「情報セキュリティ総合戦略」として公表、経産省を中心に関連省庁が被害予防と事故対応の具体化に取り組む。
安全性格付けは経産省が基準を作成、監査法人や情報システム会社などが個別企業ごとに評価する。情報システムの利用者管理体制や、データ入力などを外部委託する際の契約内容などを審査。政府調達の入札参加資格として一定以上の格付けを求める。二〇〇六年の実施を目指す。
金融や電力など社会的影響が大きい業界でシステム障害が発生した場合は、航空・鉄道事故調査委員会と同様の「重要インフラ・システム事故調査委員会」を内閣官房内に機動的に設置する。障害発生直後から原因究明にあたり被害が広がるのを防ぐのが狙い。関連省庁が強制調査や改善命令を下せるよう新法制定も検討し、来年中に体制を整える。
障害が発生した場合、個別企業が抱える補償負担が過度に高まる恐れがあるため、システム障害による損害賠償を補償する損保商品の開発も後押しする。
損保大手などが参加する研究会を設け、補償内容や保険料水準のあり方について検討。二〇〇四年三月末までに保険商品のモデルを作る。
安全対策の司令塔となる内閣官房情報セキュリティ対策推進室の陣容に関しては現在の九人を来年中に百人規模への拡充を求める。三百―数千人を情報セキュリティー担当としている欧米に比べ、日本での政府対応に遅れが目立つためだ。

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国税・社会保険料、電子納付来年から―ATMやネットで順次。

国の税金や社会保険料を銀行の現金自動預け払い機(ATM)や電話、インターネットで支払える電子納付が来年一月から順次スタートする。金融機関の営業時間内に窓口に行かなくても支払いができるようになり、利便性が高まるとともに、金融機関や官庁の事務処理負担も軽くなる。
政府・日銀は二〇〇〇年から、電子政府構想の一環として税金や社会保険料などの納入電子化を検討してきた。都市銀行や地方銀行、信用金庫、信用組合など約二千の民間金融機関と日本郵政公社が参加する「日本マルチペイメントネットワーク運営機構」で具体策を話し合ってきた。
その結果、来年一月から特許申請料などの行政手数料や雇用・労災などの保険料をインターネットや電話、ATM経由で納入できるようにし、来年三月からは中小企業や個人などが申告する所得税や法人税・消費税にも広げる。
国民年金保険料は来年四月、自動車税・自動車重量税など車検関係費用は二〇〇五年中に実現する計画だ。
納税者は官庁から送られた納付書に記載された複数の番号を打ち込んだり、電話で伝えたりすれば納付手続きができる。データは収納官庁にすぐに通知されるため確認作業などが楽になり、再請求もなくせるという。納税の手間が省けるため、収納率向上を期待する声も政府内にはある。
みずほ銀行は営業店にある全ATM(約六千台)で納付できる体制を整えた。他の金融機関も取り組みを急いでおり、スタート当初は約八割の金融機関が対応可能となる見通し。残り二割もコンピューターシステムの対応を終え次第、サービスを始める見込みだ。

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通販サイト9割に欠陥、企業、対応急ぐ―産総研22社調査。

インターネット通販サービスの多くで、クレジットカード番号など個人情報が他人に見られたり、利用者本人になりすましての注文ができるといったシステム上の欠陥があることが、経済産業省系の研究機関、産業技術総合研究所の調査で分かった。有力二十二サイトのうち約九割に何らかの問題があった。運営企業はシステムの修復など対策を急いでいる。
産総研は有力ネット通販二十二社を調査、二十社で欠陥を見つけた。あるビデオ・CD販売サイトでは氏名や注文履歴が漏えいする問題があり、本人になりすまして注文することもできた。他のパソコン直販店では勤務先や趣味などの情報も盗み見できた。
あるチケット購入サイトではクレジット番号を読み取れた。いずれもネット上で容易に手に入る盗聴ソフトを使うことなどの方法で数分で情報を盗み見できる。
今回の欠陥は利用者のIDなどをパソコンに保存する「クッキー」というデータが暗号化されていなかったのが原因。
危険が生じるのは企業や集合住宅でパソコンが結ばれている場合。他人のパソコンから通信内容を盗み見られることがある。個人住宅でも無線LAN(構内情報通信網)を利用していると電波が外に漏れて盗聴される危険があるという。
調査をまとめた産総研の高木浩光チーム長は「通信を暗号化しているサイトは多いが、クッキーの暗号化は技術書にも解説が少なく見落とされやすい」と指摘。業界全体で早急な対策を取るよう呼びかけている。
産総研は調査対象の社名を公表していないが、日本経済新聞社が有力業者十八社に聞き取り調査したところ、ヨドバシカメラやソニー・コンピュータエンタテインメントなど四社が「対策済み」と答えたほかNEC、ソニー、エンタテインメントプラス(イープラス)など五社が「産総研の指摘を受けて改修中」と回答した。
 ▼クッキー
 ホームページを見たり買い物をしたりする際、ホームページの運営者によって利用者のパソコンに保存されるユーザーIDなどの情報のこと。多くの会員制サイトではクッキーをもとに利用者を識別している。

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経産省が調査、IT活用度、業績を左右。

経済産業省の調査で経営方法に情報技術(IT)を積極的に活用している企業ほど好業績である傾向が明らかになった。活用度によって企業を四群に分けたところ、最も活用度の高い企業群の八〇%が「業績が上向き」と回答。「悪化」との答えはゼロ%だった。逆に最も活用度の低い企業群は「上向き」が二八%にとどまり、「悪化」が二五%に達した。
調査は今年一月から二月にかけて全国の上場企業三千六百八十三社を対象にアンケート形式で実施し、うち四百三十六社から回答を得た。
最もITの活用度の高い企業群は全体の二%、次の企業群が一七%、その後は六六%、一五%と続く。経産省は「ITを導入してしっかりと活用すれば業績にプラス効果があるが、実践している企業はごく一部」と分析している。
業種別に見ると、金融が最もITの活用度が高く、製造業が最も低いとの結果となった。

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ブロードバンド利用者996万件に、4月末、総務省まとめ。

総務省は四月末現在のブロードバンド(高速大容量)サービスの利用者数をまとめた。ADSL(非対称デジタル加入者線)や光ファイバーの合計利用者数は約996万件だった。利用者は毎月50万ー60万件のペースで増加しており、五月末現在ではすでに1千万の大台を突破したもようだ。
内訳ではADSLが747万8千件(前月比6.5%増)、CATV(ケーブルテレビ)が213万5千件(同3.2%増)、光ファイバーが34万7千件(同13.6%増)。
この三年間の推移は二〇〇〇年三月末が21万6千件、二〇〇一年三月末に81万8千件、二〇〇二年三月末が386万1千件だった。

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IT活用度、日本20位、競争力の要厳しい評点―電子政府の実 現カギに

「ダボス会議」を主催する世界経済フォーラム(WEF)が十九日、情報技術(IT)の活用度を国際比較した「二〇〇二年世界IT報告」を発表、日本は昨年から順位を一つ上げ、二十位となった。アジアではシンガポール、台湾、韓国、香港に続く五位。日本の競争力低下はIT化の遅れにあるともいわれるだけに、「e―Japan戦略」を掲げる小泉政権にとっては厳しい評価となった。
文化的に不慣れ
世界IT報告はWEFが米ハーバード大学国際開発センターの協力を得て作成した報告書で、今年で二回目。世界八十二カ国・地域のITの活用度を個人、企業、政府の各レベルについてインフラや政策、利用状況などから 採点した。総合評価一位には米国を抜いたフィンランドが輝いた。
日本の順位は前年とほぼ変わらず、政府のIT戦略も期待したほどは評価されなかった。民間企業の情報化は進んだが、行政、教育、医療分野など公共部門での立ち遅れが足を引っ張った形だ。IT分野の法的整備は五十二位、教育へのIT投資は六十一位とそれぞれ厳しい評点となった。
日本の評価が高かったのは、電話、ファクスなど従来型の情報機器の普及度で、いずれも一位。インターネットの接続環境ではダイヤルアップは一位だが、ブロードバンド(高速大容量)環境は六十五位と低く、韓国の三位 と明暗を分けた。
報告書は日本の情報化の遅れについて「インフラはあるが、ネット利用に重要な英語とキーボードに慣れない文化的側面が大きい」と分析。政府のIT政策も不十分だと指摘し、「年配者のIT利用、家庭へのパソコン導入、電子政府の推進が今後の情報化のカギを握る」と強調した。
文化的側面は日本以外にもうかがえる。英語を公用語とする米国、英国、シンガポール、カナダ、オーストラリアではITの活用度が高く、フランス、イタリア、スペインなどラテン系の国は総じて低い。フランスでは国営電話時代に「ミニテル」という専門の情報端末が配布されたこともネット利用を遅らせた。
携帯電話やインターネットは重要な生命線でもあり、寒い国、広い国での普及が目立つ。世界最大の携帯電話会社、ノキアを生んだフィンランドがその象徴で、スウェーデン、アイスランドなどでも利用が多い。ただ携帯電話などによるモバイルインターネットは日本が堂々二位となった。
独は重点強化
最近は国際競争力の強化策としてITに力を入れる例も増えている。欧州ではドイツやアイルランド、エストニア、アジアでは韓国や台湾などだ。WEFはIT報告とは別に「世界競争力報告」を発表しているが、ITの先進国ほど国際競争力も高く、両調査には極めて相関性が高い。
IT革命はもともと米政府の「情報スーパーハイウエー構想」に負う点が大きい。機械や自動車産業に強いドイツや日本は当初、模様眺めだったが、出遅れに気づいたドイツ政府は電子政府戦略の「バンドオンライン」を導 入。それを受け、IT報告でも競争力報告でもランクを上げた。
競争力比較はスイスのビジネススクール、国際経営開発研究所(IMD)も毎年発表しているが、そこでもITが重視されている。WEFと順位に多少食い違いはあるが、ITに注力したところほど順位は総じて高い。
インフラは整う
注目されるのは十位(二〇〇一年は七位)のアイルランド。ITに特化した政策で、一九九〇年代後半は毎年一〇%近い経済成長率を記録。エストニアもアイルランドを手本にしている。
片山虎之助総務相は日本経済新聞社主催の「世界情報通信サミット」で「インフラ環境が整った今後は利用を促す政策が必要だ」とIT戦略の見直しを表明した。三月にも新方針を出すが、政府の電子化も含めIT戦略を実 行できるかに日本の浮沈がかかっている。
(編集委員 関口和一)
ここがポイント
▼日本のIT活用度は主として公共部門の立ち遅れが響き、二十位にとどまった
▼各国・地域の国際競争力はITの活用が進んでいるほど高い傾向がみられる
▼各政府は積極的に電子化に取り組んでおり、日本も対応を急ぐ必要が ある

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総務省、IT投資減税を実施〜期間は2003年1月から3年間

総務省は「IT投資促進税制」(IT投資減税)を実施すると発表した。適用期間は2003年1月1日から2006年3月31日までの3年間。減税規模は約5千億円。

法人や個人事業者のITネットワーク化を支援するもので、コンピュータ、デジタル複写機、ファクシミリ、ICカード利用設備、ソフトウェア、デジタル放送受信設備、インターネット電話設備、ルーター・スイッチ、デジタル回線接続装置などを国内事業のために取得した場合に適用される。減税措置として取得価額に対する税額控除10%か、特別償却50%を選択できる。

年間の取得価格要件は、資本金3億円以上の法人でハードウェアとソフトウェアがそれぞれ600万円以上。資本金3億円以下の法人で、ハードウェア140万円以上、ソフトウェア70万円以上となっている。

また、資本金3億円以下の法人では、4年以上のリース契約の費用がハードウェア200万円以上、ソフトウェア100万円以上の場合、リース費用総額の60%に対し、10%の税額控除が適用される。

なお、同時に「広帯域加入者網普及促進税制」や「地上放送施設デジタル化促進税制」の拡充・延長も発表されている。

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経産省方針全商品で、ICタグ、規格統一―バーコード後継に。

経済産業省は商品の生産地、流通経路など大量の情報を書き込めるICタグ(荷札)の規格を全商品で統一する方針を決めた。それぞれの業界が実用化へ独自に検討を進めており、このままでは互換性がない規格が乱立しかねないと判断した。実現すれば、現在のバーコードに代わって、ICタグがどの小売店にも普及することになる。
経産省は五日、食品、自動車、家電など関係業界や関係省庁で構成する研究会を設置。三月中にも報告書をまとめる。世界でも規格を統一できるよう国際標準化機構(ISO)に提案する。
ICタグは商品の表面に数ミリのICチップを張り付け、小売店が読み取り機をかざすことで商品管理をする。現在は情報を太線、細線で示して印刷したバーコードを使うのが一般的だ。
バーコードは紙なので安くて使いやすいものの、企業名や商品名など限られた情報しか盛り込めない。一方、ICタグはどこで作られ、どう配送されたかなど様々な情報を記録できる。読み取り機能を携帯電話に付けれ ば、消費者が購入前に商品履歴を入手できる。
経産省が規格統一に着手するのは、家電、自動車などが業界ごとに、企業コードなどICに記録する情報形式を独自に開発しているためだ。米国は危険物の国内持ち込みを防ぐテロ対策としてICタグの規格統一を検討。そ れを国際基準にしようとしている。

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行政・民間手続き電子政府で一度に、経産省、システム構築へ。---住民票の移動から銀行口座の住所変更まで

経済産業省は住民票の移動など行政手続きと、銀行口座の住所変更など民間の手続きを同じ画面で申請できる電子政府システムを構築する。二〇〇五年度をめどに、引っ越し、結婚、出生、死去など生活行動別のホームページを開設。利用者は自宅のパソコンから必要な情報を入力するだけで、官民の手続きをインターネット上で一括処理できるようになる。
官民の壁を取り払い、利用者中心のシステムをつくるのが狙い。例えば「引っ越しサイト」にアクセスして新旧住所を入力すれば、住民票の移動や印鑑登録だけでなく、銀行、電力、ガス、電話会社などでの住所変更も可 能になる。
経産省は「官民サイト」の第一弾として、今夏をめどに地域限定の「会社設立サイト」を実験的につくる。会社設立登記、公証人審査、税務などの手続きと、銀行の口座開設などを処理できるようにする。月内にも事業に参加する自治体を公募する。電子化により、通常一―二カ月かかる会社設立の手続きが数日間で済む見通しだ。官民サイトの本格的な運用の際には、民間企業も運営主体として参入できる。

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標準化へ協議会、マイクロソフトや日立、企業間電子商取引。

マイクロソフトや日立製作所、野村総合研究所、セゾン情報システムズなど電機、情報、流通大手八十三社は、企業間電子商取引の手法標準化を進める協議会を設立した。企業や業界でシステムの仕様などが異なり、情報交換に手間取っている現状を改善。企業間商取引全体の数%程度で足踏みしている電子商取引の普及を後押しする。
設立したのは「ドットネット流通システム協議会」。マイクロソフトやNTTデータ、日立など十五社が幹事となり、各社の技術、営業企画、市場調査の実務担当レベルで詳細を詰める。異仕様のシステム間の情報交換を容易にするマイクロソフトの「ドットネット」というインターネット技術を応用する。
参加企業は二〇〇三年一月中に百社強に増える見通しで、三月には十社以上が標準仕様に対応した情報システムやソフトの販売を始める予定。マイクロソフトは海外でも標準化を進める考え。
部品や材料の受発注、納品の確認などのほか、在庫・売り上げの分析や顧客管理といった社内業務のデータ管理の標準化も進める。取引の電子化に向けた情報システムの構築や仕様の改善に必要な期間を短縮し、運営費の抑制も期待できる。
インターネットの次世代記述言語であるXML(拡張可能なマーク付け言語)を使い、情報の整理や検索を容易にする。
企業間の電子商取引では、企業や業界によって情報伝達の仕様や方式が異なることが多い。このため、異なる業界などと電子商取引を始める場合、情報変換などの作業が必要になるため、普及の障壁になっている。
経済産業省の推計によると、今年の企業間電子商取引の市場規模は専用回線を使うものを中心に四十四兆円。企業間商取引全体の数%程度とみられる。

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シニア層の9割、毎日ネット利用―インフォシーク調べ。

楽天のインターネット検索サービス子会社、インフォシーク(東京・目黒、森学社長)がこのほど五十―七十歳代のシニア層のネット利用実態を調査したところ、ほとんど毎日利用するとの回答が九〇%に達した。普段使うものとして電子メールが九四%と最多で、次いでショッピング(五一%)、掲示板の閲覧(二五%)だった。
一日に受け取る私用の電子メール数として、五五%が「五通以内」だが、「五十通以上」も七%あった。同社が抱えるネット調査対象者にアンケートを送り、五千八百三十六人から回答を得た。

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オータ事務所、中小建設向け電子申請代行―低料金で囲い込み図る。

行政書士事務所大手のオータ事務所(東京・新宿、太田宏社長)は中小の建設会社向けに、公共工事の電子申請を代行するサービスを強化する。東京都などの地方自治体や国土交通省では電子申請導入が進んでいるが、中小建設会社の情報化は進んでいないと判断。既存の書類申請より低料金でサービスを提供して、早期に顧客の囲い込みを図る。
今年十月から東京都が指名競争入札の参加に必要な指名申請手続きを全面的に電子化したことに対応する。二〇〇三―〇四年度に都財務局をはじめ水道局、下水道局、交通局がそれぞれ発注する工事の入札に参加するためには、建設会社は来年一月までにインターネットで経営データなどを入力する必要がある。
オータ事務所は従来の書類申請と同様に建設会社から書類を取り寄せ、必要なデータを抽出して入力業務を代行する。書類の用意の仕方のアドバイスを含めた料金は四万円程度で、従来の申請の約半値で代行する。
現在都庁の工事に参加している顧客は約二万四千社あり、潜在需要は大きい。低料金を売り物に顧客拡大を図る考え。
営業活動を強化するため、このほど「電子オータ事務所」の商標を登録した。国交省でも部分的に入札参加のための電子申請が始まっており、今後は入札そのものが電子化されていく見通し。新しいブランドで申請や入札の代行・相談の需要を幅広く取り込む。
オータ事務所の年間売上高は現在約十億円。五年後には売上高の四割を新ブランド事業で稼ぎ出したい考えだ。

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ネット接続大手、IP電話7社連合、会員間は通話無料。

ニフティ(東京・品川)などインターネット接続会社の上位七社がIP(インターネット・プロトコル)電話で連携する。基本料を除き会員間の通話は無料とし、来春をメドに本サービスを始める。合計約二千万人の会員を持ち、国内ネット接続利用者の四割近いシェアを持つ七社が協調することで、年間五兆円にのぼる一般固定電話市場に大きな変動をもたらしそうだ。(解説13面に)
参加するのはニフティ(サービス名は@ニフティ)、NEC(ビッグローブ)、NTTコミュニケーションズ(OCN)、ソニーコミュニケーションネットワーク(ソネット)、KDDI(DION)、日本テレコム(ODN)、松下電器産業(hi―ho)の七社。
七社が実施するのはIP電話専用の通信回線を使い、音声などの品質を高めたサービス。各社の会員のうち、ADSL(非対称デジタル加入者線)や光ファイバーなどブロードバンド(高速大容量)サービスの利用者約二百万人が対象となる。残りの会員もブロードバンドに加入すれば、IP電話を利用できる。
料金体系など詳細は今後詰めるが、基本料は月額三百―四百円、一般の固定電話へかける通話料金は全国一律三分八円前後にする方針だ。必要な通信機器は月額七百円前後で貸し出す。利用者を早期に確保するため、七社の会員相互間の通話は無料にする。将来は課金する可能性もある。
年内に一部試験サービスを開始。利用者は来春の本サービス段階では七社のIP電話同士と、一般固定電話への通話ができる。夏には一般固定電話からIP電話への通話もできるようになる。
NTTコム、KDDI、日本テレコムの大手通信三社が専用の通信回線を提供、これに他の四社が接続する形で通話網をつくる。利用者には「050」で始まるIP電話専用番号を配布する。
一般固定電話からIP電話にも電話がかけられるようになる来年夏からIP電話が急速に普及するとみて、七社は会員数が多く、無料通話の適用範囲が広いことを武器に攻勢に出る。
七社が手掛ける形式のIP電話はソフトバンクが今年四月に事業化している。

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次世代大容量光ディスク、規格2分裂確定―世界212社参加の DVDフォーラム。

将来普及が見込める大容量光ディスクの規格が二つに分かれることが確定した。電機メーカーや映画会社など日米欧アジアの二百十二社で構成するDVD(デジタル多用途ディスク)規格策定団体、DVDフォーラムは東芝とNECが提案した方式を次の世代の規格に決定。同フォーラムとは別行動でソニーや松下電器産業など九社が進めている方式との一本化は断念した。
新しい光ディスクは現行のDVDに比べ記録容量が四―五倍で、ハイビジョン放送など高画質映像の長時間記録が可能になる。
同フォーラムは今後、東芝・NECの「アドバンスト・オプティカル・ディスク(AOD)」(仮称)規格の詳細を会員企業で詰め、来春には一般に公開する。フォーラムに認定されても会員企業に採用を強制するわけではないが、「DVD」というロゴをAODだけが使用できるため消費者にアピールしやすいほか、フォーラムとして技術説明会など普及活動に取り組む。
今回の認定を受け、東芝に続いてNECもAOD方式の光ディスク駆動装置や、同装置を内蔵したパソコンを二〇〇三年中にも発売する方針を六日明らかにした。家電では東芝が二〇〇四年をめどに家庭用レコーダー(録画再生機)を売り出す計画。
ソニー、松下など日欧韓九社は策定した「ブルーレイ・ディスク」規格をDVDフォーラムへ提案せず、独自行動を取っていた。両方式の融合を検討してきた同フォーラムは相違点が多く一体化できないと判断した。
▼DVDフォーラム 現行方式のDVD関連企業が集まる唯一の国際的な業界団体。東芝やソニーなどがDVD規格を策定するため設けた作業組織を引き継いで一九九七年に発足した。現行の再生規格や記録規格のDVD―RAMとDVD―RWをまとめるなど、これまで関連企業の意思統一機関の役割を果たしてきた。

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常時接続パソコン、サイバー攻撃1日平均10件――警察庁、警戒訴え。

インターネットに常時接続している企業や一般家庭のパソコンは一日平均約十件、不正アクセスなどのサイバー攻撃にさらされているとの推計が七日、警察庁が初めてまとめた「インターネット治安情勢の分析」で明らかになった。同庁は「自分のパソコンだけは大丈夫という考えは捨て、急いで対策をとってほしい」と呼びかけている。
警察庁は全国の警察関連施設計五十七拠点に、サイバー攻撃を二十四時間体制で監視する侵入検知装置を設置。今年七―九月の三カ月間に計五万一千百四件に上る攻撃を受けたことを確認した。
いずれも警察が管理していることは公にしておらず、攻撃は警察を対象にしたのではなく、ほぼ無作為に行われていたことから、常時接続しているパソコンは企業や一般家庭でも、一日平均約十件の攻撃を受けている計算になるという。
攻撃を手法別にみると、全体の約八割がそのパソコンがインターネットのどこに接続しているかを探索するといった攻撃の準備的な行為だが、コンピューターへの侵入・操作や動作の停止を狙った本格的な攻撃も計一一・四%あった。
攻撃の発信元は世界各地に散らばっており、イタリアが全体の二割にあたる一万五百三十一件で最も多かった。以下、米国一八・八%、日本一八・二%、中国七・二%、韓国五・九%の順。最後に経由しただけの場合もあるため、警察庁は「発信元が必ずしも攻撃元とは限らない」と説明している。

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ネット家電規格統一、104社合意、世界標準めざす。

国内の主要電機メーカー、電力・ガス会社、通信会社が、インターネットに接続して容易に遠隔操作などができるネット家電の通信規格を統一する。一部の家電メーカーが先行的に開発してきた通信技術を包括する規格とし、異なるメーカーの機器間のやり取りが可能になる。今後は欧米やアジアのメーカーに採用を働きかけ、世界的な標準規格を目指す。(解説13面に)
東芝、松下電器産業、東京電力など百四社で組織するエコーネットコンソーシアム(東京・台東)が五日、新規格を発表した。ADSL(非対称デジタル加入者線)などでインターネットにつなぎ、家庭内の電気コンセントに無線装置を取り付けて電灯線経由で各種ネット家電と情報をやり取りする。トランシーバーなどで用いられる「特定小電力無線」に加え、新規格は近距離通信の「ブルートゥース」と構内情報通信網(LAN)通信に使う「イーサネット」の二種類の無線方式にも対応するようにした。データの暗号化などセキュリティー機能も強化している。
新規格は同コンソーシアムの会員企業向けに公開。今後、各社が新規格に対応したネット家電の開発を進める。半年後をめどに一般公開し、海外メーカーにも採用を呼びかける。
家電をネットワークで結べば、携帯電話を使って冷蔵庫に残っている食材などを買い物中に調べたり、在宅医療機器で測定したデータを病院に自動伝送できるようになる。ネット家電は東芝が今年四月にブルートゥース方式の冷蔵庫、洗濯乾燥機などを発売。松下電器や日立製作所は二〇〇三年度に特定小電力無線方式の製品を発売する計画。無線方式が並立することになるため、異なるメーカーの機器間の接続が難しくなる可能性があった。
業界ではネット家電の主要四品目(冷蔵庫、洗濯機、エアコン、電子レンジ)の国内出荷額が二〇〇五年度に五百億円、二〇一〇年度に一千億円になると推計している。

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利用するメディア、ネットが上昇TV離れ加速。

利用するメディアはテレビからネットへ――。ネットを使った調査会社、インフォプラント(東京・新宿、大谷真樹社長)は二十四日、消費者のメディア接触に関する調査結果を発表した。一年前と比較してネットの利用回数が増える一方で、テレビ視聴や新聞閲覧の頻度が減少している。
調査は二十歳以上の「iモード」利用者を対象に八月二十七日から三日間実施し、二千二百七十人から回答を得た。
パソコンなどからのネットの利用回数が増えた回答者は三七・四%で、減った人は一五・四%。NTTドコモの「iモード」の利用回数が増えた人は五三・一%で、減った人は一六・二%だった。テレビでは増えた回答者は二二・九%、減った人は四三・四%だった。
テレビなど既存のマスメディアとの接触を減らす代わりに、男性はネット(四八・三%)、女性はiモード(五四・五%)の利用をそれぞれ最も増やしていることがわかった。

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三菱総研など調査、ナローバンド利用者、高速大容量「移行を予 定」9割。

三菱総合研究所とNTT―X(東京・千代田、中嶋孝夫社長)はブロードバンド(高速大容量)の利用状況に関する調査結果をまとめた。ダイヤルアップ接続など通信速度が遅い「ナローバンド」利用者の九割が、ブロードバンドへの移行を予定していることが分かった。
両社が九月中旬にアンケートを実施、約二万九千四百人から回答を得た。ブロードバンド利用者の内訳では五九・七%が非対称デジタル加入者線(ADSL)、CATV(ケーブルテレビ)が二一%、光ファイバーが二・九%だった。
ナローバンド利用者の九割が「ブロードバンドへの移行を予定している」と回答。利用予定の回線種別ではADSLが七割近くを占めた。
回答者の七六・九%がIP(インターネット・プロトコル)電話について「知っている」と答えた。このうち「利用したことがある」人は一三・四%にとどまった。三菱総研は「ADSLを中心にブロードバンドが広がっており、今後光ファイバーの本格的な広がりも期待できる」としている。

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公共・民間サービスICカード1枚で―松下など6社、札幌市で実験

松下電器産業、NTTデータ、ビックカメラなど六社は札幌市と共同で、公共と民間のサービスを一枚のICカード=写真=で利用できる実用実験をする。公共施設の予約や商品の購入ポイント蓄積などに共通で使えるようにする。大手企業と自治体のサービスを一体化するのは初めてで、来年にも実用サービスに移行する。
当初のサービス対象は札幌市内の約七万人。松下とNTTデータがシステム運用やICカードの発行を担当。ビックカメラグループ、JTB、JCB、国際航業がサービス提供で参加する。
公共サービスについは、札幌市が体育館などの施設予約や情報技術(IT)講習の際の個人認証に利用できるようにする。民間側はポイントカードやクレジットカードとしてICカードを使う。家電店や飲食店など市内の二百店舗で利用できるようにした。
例えばビックカメラで家電製品を購入した際のポイントを、自治体関連の文化イベントに寄付できる仕組みなど官民サービスの一体化を進める。国際航業とJTBが開発した情報端末を市内に設置、ICカードを差し込むと予約した飲食店の場所を地図上に表示する新サービスも提供する。

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シーガルなど、中小向けeラーニング。

システム構築のシーガル(東京都八王子市、桑山義明社長)は九月三十日、NTTエムイー(NTT―ME、東京・千代田、石川宏社長)、TDKと共同で二十八日から中小企業向けのeラーニングサービス「どこでも学べる中小企業のためのネット取引(どこ学)」を始めると発表した。
CD―ROM(CDを利用した読み出し専用メモリー)とネットを活用し、電子商取引(EC)や電子入札などを実際に体験し、理解を深められるという。消費者向けECや企業間EC、電子入札などの仕組みが学べる。
一通り仕組みを学んだのち、疑似サイト上で電子認証や物品の購入などの取引の流れを体験する。ネットを使った弁護士や弁理士によるライブ講座も月二回程度予定している。
シーガルが学習コンテンツ(情報の内容)の企画、NTT―MEがライブ講座用システムなど、TDKがCD―ROMの作成を担当した。価格は二万四千円で、二〇〇三年三月までに五万本の販売を見込む。全国中小企業団体中央会、日本商工会議所、全国商工会連合会の協力を得て、約二百七十万社の会員企業に導入を働きかける。

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IP電話、商戦火ぶた、専用番号申請受け付け開始、6000万回線 の巨大市場争奪。

総務省は二十七日、IP(インターネット・プロトコル)電話の専用番号の申請受け付けを始める。これまで発信機能だけだったIP電話は「050」で始まる十一ケタの専用番号を得て、双方向サービスへと脱皮する。「六千万回線の固定電話客を狙え」――。通信会社やネット接続事業者などは、新たな商機と見て続々と申請に動こうとしている。
受け付け初日には、十―二十社の事業者が申請する見通し。三種類のIP電話サービスを提供中のNTTエムイー(NTT―ME)は、「提供できるサービスの幅が広がる」とみて、初日に申請する意向だ。
申請開始を前に業界団体が最近開いたセミナーには、約百社の担当者が殺到。「専用IP網を持たない事業者も申請できるのか」「一一〇番など緊急電話はかけられるか」など、満席の会場からは質問が相次いだ。
IP電話はこれまで、ブロードバンド(高速大容量)サービスの“おまけ”にすぎなかった。しかし双方向になれば、現在の固定電話とほぼ同じ機能を持つ。料金は全国均一で固定電話の市内料金並みになるとみられ、NTTなどの固定電話加入者を大量に取り込むチャンスがめぐって来る。携帯電話サービスやプロバイダー契約の伸び率が鈍化する中、IP電話への新規参入は魅力が高い。
IP電話が安価に提供できるのは、設備や保守・運用コストの違いが大きい。固定電話網の交換機は一台数億円だが、IP電話に使うルーターは一台数百万円。保守・運用もルーターの方が手間がかからない。NTT―MEなど自前の回線を持たない第二種通信事業者の場合は、投資がさらに少なくて済む。
IP電話は固定電話などへの通話時に接続料が発生。例えばヤフーBB(三分七・五円)では利用者が固定電話あてに三分通話した場合、NTT東西などに四・五円の接続料を支払い、ヤフー側の収入は三円となる。
一方、双方向化で固定電話などからの着信時には接続料がIP事業者側に入る。発着信は同額のケースが多く、会員が多いほど有利となる。
総務省は十月末にも事業者番号を各社に割り振り、これを受け各社はNTTの東西地域会社などと、回線接続などを巡る事業者間協議に入る。
NTT東西は事業者間協議の終了後、電話交換機の番号認識ソフトの書き換えを開始。総務省は新しい電話番号を一元管理する仕組みなどを構築する。実際のサービス開始は来年春か夏となる見通しだ。(小高航)

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マイクロソフト、IT体験、トラックツアー―地方の需要開拓へ。

マイクロソフトは十九日、地方の中小企業や自治体の情報技術(IT)需要開拓のため、大型トラックでIT化の実例を紹介しながら巡回する「IT体験キャラバン」を十月十五日から始めると発表した。約一年かけて、四十七都道府県の約百五十カ所を回る。
十トントラックの荷台にセミナー用に二十席、パソコン体験用に十席設けた。車両購入費と改装費合わせて約四千五百万円。機器類はメーカー各社から提供を受ける。
札幌駅南口(札幌市)を皮切りに、各都道府県につき三カ所程度回る。ITの活用事例を紹介したり、パソコンで実際に業務用ソフトを試してもらう。同社は昨年十月以降、地域の情報サービス会社と共同で自治体や中小企業経営者を対象にしたITセミナーを開いてきたが、大都市での展開にとどまっている。以前、バスで巡回して業務用ソフトの販売促進活動をした実績がある。今回はトラックを活用して訪問都市を広げ、きめ細かな市場開 拓に取り組む。

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住基ネット1カ月、「安全」「利便性」道半ば――LAN経由侵入懸 念。

171の手続き、法整備待ち
住民基本台帳ネットワークが稼働して約一カ月。当初は国民総背番号制につながるとの懸念から議論も活発だったが、実際に利用できるサービスがまだほとんどなく、関心は薄らいだ印象。ただ、住基ネットの利用はむしろこれから本格化するだけに、利便性か、個人情報保護重視か、議論はむしろこれからが本番といえる。
「番号を返上したいんだが」。市町村窓口には郵送されてきた住民票コードを持って住基ネット不参加を要望する住民が訪ねてくる。ただ、住基ネット参加について住民に選択制を認めているのは横浜市だけで、他の自治体では「住民票コードを知らせる書簡を預かることはできても、コードを抹消することは難しい」(東京都目黒区)。
八月五日の住基ネット稼働時に不参加だったのは、東京都の杉並区、国分寺市など六自治体。このうち三重県の小俣町、二見町は九日には住基ネットに接続した。
両町は独自のセキュリティー規程を策定した。町民の個人情報が危険にさらされる可能性があると判断した場合には住基ネットとの接続を町の判断で切断できる。関連設備への厳しい入退室ルールなども定めた。二見町では九月十一日開会の町議会に個人情報保護条例案を提出する予定だ。
五日から九日夕までに総務省に報告されたシステム障害は九件。このうち大阪市など六件は、各市町村の住民基本台帳事務用コンピューターと住基ネットとを橋渡しするサーバーの動作不良が原因。総務省は「ハードディスク交換などで問題は解決している」(市町村課)としている。
現在の課題は住基ネットの端末とインターネットに接続可能な庁内LAN(構内情報通信網)とを接続している自治体が複数あること。総務省は各自治体にシステムのセキュリティーレベルなどを調査中だ。調査が完了するまでは(1)庁内LANとインターネットの接続をやめる(2)住基ネットを常時接続せず、一日の事務をまとめてバッチ処理する――のいずれかを選択するよう要請している。
住基ネットを使えば、各種の申請・届け出を行う際に、本人確認のために住民票の写しを添付する必要がない。ただ現段階で利用できるのは、パスポートの記載事項の変更など九十三の行政事務に限られる。
国民年金、厚生年金の給付確認やパスポートの発給など百七十一の行政事務については現在国会で継続審議中の行政手続きオンライン化法が成立した後。さらに住民票の写しが全国どこの市町村でも交付できるサービスは二〇〇三年八月まで待たなければならない。
一方情報技術(IT)関連各社にとって住基ネットは電子自治体商談のきっかけにすぎず、住基ネットの稼働を冷静に受け止めている。
各社は経済産業省の補助事業を活用する自治体での成功例を全国に広げようとしている。富士通は立川など東京都多摩地域五市によるICカードを活用した行政サービスを、NECは兵庫県宝塚市など阪神北部地域の三市一町の広域行政サービスを、日立製作所は岡山市による介護保険などの電子申請システムをそれぞれ支援している。
ただ庁内文書をネット上で決裁する電子文書管理システムは導入が始まったばかり。住民による電子申請システムや、ネットによる電子調達システムなどはまだ普及していない。

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